アルコールと身体

アルコール依存症

過度の飲酒を長期間続けていると、アルコールに対する依存が生じてしまう。

アルコール依存症になった場合、急に飲酒を中断すると、 6-12時間ほど経過してから、心と体に変調(禁断症状)が現れる。

  • 軽度の症状 不安, 頭痛, 不眠
  • 中程度の症状 手の震え, 興奮, 悪心, 嘔吐, 発汗, 動悸
  • 重度の症状 てんかん発作, 幻覚, 意識の混濁(時間、場所・空間がわからなくなる)

アルコール依存症を判定する WHO 診断ガイドライン

下記項目で3つ以上チェックがつくと、アルコール依存症の疑いあり。

*「飲みたい」という強い欲望、または切迫感がある

  • 飲み始めや飲み終わり、飲酒量をコントロールすることが困難
  • 飲酒を中止したり、減らしたりすると禁断症状がでる
  • 酔いを感じるために、以前より飲酒量を増やした
  • 飲酒のために他の楽しみや興味がなくなり、飲んでいる時間や酔っている時間が長くなった
  • 心身や生活などに支障が出ているのをわかっていても、飲まずにはいられない感情があり、飲んでしまう。

「酒がないと本音で話せない」「酒を飲むと明るくなれるので飲む」など、 酒の力を借りないと人とコミニケーションが計れない人は、 ストレスを感じるたびに酒量が増えてきて、気づかないうちに アルコール依存症になってしまっていることがある。

アルコール性の脂肪肝は性質が悪く、 飲酒を続けると肝線維症、肝硬変へと進んでしまう。

肝臓への影響

アルコール性肝線維症

肝線維症とは、肝臓組織の特に中心静脈や肝細胞の周囲に目には見えない 細い糸のような線維がスジのようにできて硬くなっている状態。 (肝臓の繊維化)

アルコールには、繊維の合成を刺激する作用があるといわれている。 そのアルコールにより、アルコール性脂肪肝に引き続いて起こる病気。

この状態になっても、脂肪肝と同じく自覚症状が少なく 肝機能の異常の発見がきっかけでわかることが多い.

アルコール性肝硬変

肝細胞が破壊され、線維化が進んで硬化した状態。 肝線維症の次の状態。

肝臓は再生能力が高い内臓であるため、 肝細胞の破壊が進むと破壊されていない肝細胞が肝蔵の機能の低下を防ごうとして増殖する。 結果として、肝臓の表面に、 3,4 mm の結節がいくつも形成され、ぼこぼこの状態になる。

症状

初期の自覚症状は、食欲不振や全身のだるさなど。 症状が進むにつれて、黄疸や下肢のむくみ、腹水などが現れる。

上半身に、毛細血管が 5-10 mm の範囲で部分的に拡張する赤い発疹のように 見えるクモ状血管腫が現れたり、指先や手のひらが赤くなる手掌紅斑が起こる。

胃腸から肝臓に入ってくる門脈の血液の流れが悪くなり、 血液が肝臓や脾臓にたまり、腫れていく。

さらに悪化すると、食道の血管を迂回しようとして、食道静脈瘤ができる。 食道静脈瘤があると、食べ物が食道を通った時に摩擦で破裂し、 大出血を起こしたり、肝性脳症を招いて、生命にかかわる事態となる。

対処

アルコール性肝硬変の場合には、飲酒をやめれば病気の進行が遅くなり、 ある程度の回復が期待できる場合もある。